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第102回日本病理学会で発表

第102回日本病理学会(2013.6.6-6.8、札幌)で発表しました。

病理学会は2年ぶりの参加でしたので、演題をたくさん持って行きました。

口演

ヒト胚子期における隣接器官による肝臓の形態形成への影響

高桑徹也、山田重人、廣瀬あゆみ他

示説

ヒト胚子の外耳の動きは”分化・成長”で説明できる

高桑徹也、山田重人、神楽所みほ他

ヒト胚子期における脳室の形態計測学的解析

高桑徹也、山田重人、中島崇、白石直樹他

ヒト胚子における消化管の初期形成と分化

高桑徹也、上野沙季、山田重人他

ヒト胚子期における肝臓の形態形成異常の解析

金橋徹、高桑徹也、山田重人他

(口演1,示説4)
大学院生(金橋くん、上野さん)の発表も無事終了

発表にも慣れてきたようです。

ヒト胚子模型の作成•体系化

私たちの研究室では、ヒト胚子由来の立体情報を含んだデジタルデータを主に扱っています。それらをもとに形態学的、形態計測学的解析を行い、その成果を学術論文として公表しています。しかしながら、学術論文は、世間一般の方の目に触れることはまずありません。私たちは、よりわかりやすく世間一般の方々や学生、子どもたちにヒト胚子の発生について伝える方法として、近年世界的に注目されている3次元プリンターを用いた模型の作製を考えています。昨年いくつかのヒトの脳室の模型を作製し発表したところ、胚子の脳室模型は、先天異常学会でポスター賞をいただくなど高い評価を得ました。

今後、研究室で解析した立体情報を世に広め、人類共有の財産とするために、いろいろなヒト胚子の模型を3次元プリンターを用いて作製し、体系化していくことにしました。また3次元プリンター用の設計図をデータベース化し、知的財産として順次公開する計画をたてています。

ご期待ください!

 

 

 

 

 

軟骨最表層の構造; (藤岡修論) Osteoarthritis Cartilageに掲載

藤岡さんの修士論文「軟骨最表層の構造について」がOsteoarthritis Cartilageに掲載されました。

  • 関節腔に直接面する最表面ゾーン (MSZ) の構造と分子成分をブタ 膝で組織学的に検討
  • MSZ が 3 つの層に細分
  • MSZ の最内側 (3 番目) の層;Collagen subtype I, II, III が存在
  • tangential layer;3 番目の層の下にあり、type II collagenと少量type III collagenが存在

7. Fujioka R, Aoyama T, Takakuwa T, The layered structure of the articular surface, Osteoarthritis Cartilage, 2013, 21, 1092-1098 doi: 10.1016/j.joca.2013.04.021

■ 内容を詳しく>>

Summary

Objective

Articular cartilage is roughly separated into three areas: the tangential, middle, and deep zones. The structure and molecular components of an additional important zone, the most superficial zone (MSZ), which directly faces the joint cavity, have yet to be conclusively elucidated. The purpose of the present study was to use multiple methods to study the MSZ in order to determine its structure.

Materials and methods

Knees from 16 pigs (age, 6 months) were used. Full-thickness cartilage specimens were harvested from the femoral groove. The MSZ was observed using light microscopy, transmission electron microscopy (TEM), and scanning electron microscopy (SEM) in combination with histochemical and immunohistochemical methods.

Results

The combined findings from the three different observational methods indicate that the MSZ is subdivided into three layers. Among these three layers, collagen subtypes I, II, and III are present in the innermost (third) layer of the MSZ. Beneath the third layer, type II collagen is the predominant type, with small amounts of type III collagen. This layer beneath the third layer is considered to be the tangential layer.

Conclusions

Our observations indicate that the MSZ is subdivided into three layers. Further analysis of the molecular components in each layer may improve our understanding of the structure of the articular surface.

白石君が日本解剖学会symposiumで招待講演

日本解剖学会のシンポジウム「器官形成・発達障害研究におけるMRI定量解析の最先端」で白石くんが「ヒト胚子期の脳形成」の講演(招待)を行いました。

*シンポジストに指名していただきありがとうございました。

ポスター
◆  三次元プリンタを用いたヒト脳神経管模型の作製
白石直樹、山田重人、高桑徹也他
◆ ヒト胚子期における肝臓の形態形成異常の解析
金橋徹、田中美玲、廣瀬あゆみ、山田重人、高桑徹也、他
第118回日本解剖学会総会・全国学術集会
 2013.3/28-3/30 香川県高松市

臨床解剖学実習 (修士)を開講

山田重人教授の全面的協力を得て人体解剖について学ぶ機会を設けました。

よりよい医療の実現のためには解剖学の知識が重要となります。なぜなら、解剖学を基本としてヒトの構造、生理、機能、病理ひいてはヒトそのものの理解へと繋がるからです。ゆえに、われわれ医療人にとって、解剖学は一時的に学ぶ科目ではなく、生涯を通じて必要とされるものなのです。大学院進学を機に解剖学をもう一度学びたい、それも本を読むだけでなく、ご遺体に対峙し実感として学びたい、そういった志の高い学生のために、本プログラムを提供致します。同時に、厳粛な気持ちでご遺体に対峙することで、生命とは何かについても考える機会となるでしょう。

新学術領域研究”構成論的発達科学”に参加協力

新学術領域研究(H24-28);構成論的発達科学ー胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解に協力することになりました。研究室の大学院生は臨床検査技師として産科領域のエコーを学びながら研究に参画します。学位修得とともに、産科領域のエコーのエキスパートとして超音波検査士を卒後3年で取得することを目標にします。

超音波検査士;  日本超音波医学会認定の資格です。超音波検査の優れた技能を有する臨床検査技師、看護師等を専門の検査士として認定するものです。「日本超音波医学会」または「日本超音波検査学会」3年間の会員歴があり、所定の試験に合格することが必要です。超音波の検査は全身の様々な部位に応用されています。超音波検査士の認定は、現在7つの領域(体表臓器、循環器、消化器、泌尿器、産婦人科、健診、血管領域)に分かれて行われています。

 

 

 

 

3D解析を応用したヒト発生解剖;年間1500 downloads達成

2012年3月に出版しましたthe Human Embryo内のreview, ”Developmental Anatomy of the Human Embryo – 3D-Imaging and Analytical Techniques” ー3次元イメージ解析技術を応用したヒト胚子発生解剖ーのダウンロード回数が1年間で1500を超えました。アメリカ、インド、中国、イタリア等多くの国々からアクセスが有り、月100以上のダウンロードがありました。私たちの研究活動が世界に発信できることは喜ばしいことです。

 

 

 

2012年度;修士論文の概要(藤岡瑠音)

Localization of collagen subtypes, which consist the articular surface
軟骨最表層の構造

軟骨最表層の構造

はじめに:関節軟骨は一般的に細胞の形態、基質の含有により表層、中層、深層の三層に分類される。しかし、関節の潤滑な動きに重要な役割を担うであろう最表層と呼ばれる層が、表層より更に関節面側に存在することは、あまり注目されていない。最表層に関するこれまでの報告では、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型顕微鏡のいずれかが用いられてきたが、得られた最表層の像は手法により様々で一定化していない。そこで本研究では、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡及び走査型電子顕微鏡を用い、組織学的、免疫組織学的手法を組み合わせた最表層各層の構造・構成成分の比較を行なった。

手法:ブタの膝関節軟骨を用いて、組織化学染色及びⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型コラーゲンに対する免疫染色を行い、光学顕微鏡、及び透過型、走査型電子顕微鏡による観察を行った。

軟骨最表層のSEM像

結果:光学顕微鏡観察により、関節軟骨の最表層はプロテオグリカンに乏しく、方向性をもったコラーゲン性の層を含んでいることが明らかとなった。また、透過型、走査型、及び免疫電子顕微鏡による観察から、最表層は三層構造に分けられた。最表面から第一層、次いで第二層が存在した。第一層は透過型電子顕微鏡では電子密度の高い層として観察でき、無定形物質からなる層であった。第二層は透過型電子顕微鏡でのみ、低電子密度層として確認された。これらの層にはⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型いずれのコラーゲンも含まれていなかった。一方、第三層は透過型電子顕微鏡では識別できないが、線維の密度や走行から走査型顕微鏡で下層と区別して観察された。この第三層はⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型コラーゲンにより構成されていた。第三層の下層は、Ⅱ型コラーゲンから構成されるコラーゲン線維と紡錘形の軟骨細胞からなる、いわゆる表層であった。表層にはⅠ型、Ⅲ型コラーゲンはほとんど分布していなかった。

考察:最表層を構成する三層の中でも、より表面に存在する第一層と第二層では、コラーゲンやプロテオグリカンなどの軟骨構成成分が認められず、第三層はⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型コラーゲンにより構成される事が示された。これらのことから、第一層、二層は第三層以下の軟骨構造とは異なる構成帯であり、第三層は軟骨構成成分であるⅡ型コラーゲンを含むとともに、この層に特異なⅠ型、Ⅲ型のコラーゲンサブタイプを含み、独立した構造体を構成していることが示された。

7. Fujioka R, Aoyama T, Takakuwa T, The layered structure of the articular surface, Osteoarthritis Cartilage, 2013, 21, 1092-1098 doi: 10.1016/j.joca.2013.04.021