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長田さん、八田くんの卒研がCongenital Anomaliesに受諾(2)

長田さん、八田くんの卒研の一部がCongenital Anomaliesに受諾されました。

胎児期に消化管が臍帯から腹腔に還納されるときに、回盲部がどのように移動するかを3D座標をとり検討しました。

腹腔に戻った回盲部は右下腹部にまっすぐ進んでいく

右上腹部に還納し下腹部に移動するという説も、以前は信じられていましたが、正しくないようです。

42. Nagata A, Hatta S, Imai H, Yamada S, Takakuwa T. Position of the cecum in the extraembryonic and abdominal coelom in the early fetal period. Congenit Anom 2020, 60 (3) 87-88. doi: 10.1111/cga.12348.

第124回 日本解剖学会で発表

第124回日本解剖学会で発表いたしました。(新潟, 3/27-3/29)

ポスター

ヒト胚子期における気管支分岐形成の3次元的解析; 藤井瀬菜、村中太河、松林潤、米山明男、武田徹、兵藤一行、山田重人、高桑徹也

胎児期初期における骨盤形成の解析; 金橋 徹、奥村 美咲、今井 宏彦、山田 重人、山本   憲、富樫 かおり、高桑 徹也

口演

ヒト胎児の顔面骨格形成とそれに必要な因子について; 勝部 元紀、山田 重人、山口 豊、高桑 徹也、山本 憲、斉藤 篤、清水 昭伸、今井 宏彦、鈴木 茂彦

シンポジウム

幾何学的形態測定学法を用いたヒト胎児脳の成長過程の解析; 山口豊、勝部元紀、上部千賀子、巻島美幸、山本憲、今井宏彦、高桑徹也、富樫かおり、山田重人

第18回日本再生医療学会総会で発表しました

第18回日本再生医療学会総会で発表しました (2019.3.21@神戸市)

再生医療において、重要な課題である細胞や組織の生死評価を行いました。3次元構造をとる組織は基質を有し、遊離した細胞よりも測定方法が困難であるとされていますが、本研究では3Dバイオプリンターを用いて3次元構造の組織体を作製し、組織構成体の摘出手法および生死評価手法について検討しました。(今後は、このような3次元的組織構成体の生死判定は移植前の組織の安全性を測るのみでなく移植後のリハビリテーションの有効性の検討を行う際の組織状態のベースラインの確認にも有用であると考えられます。)

石川葵、田中麻衣、杉山寛恵、池口良輔、高井治美、鳥井蓉子、國富芳博、秋枝静香、青山朋樹、高桑徹也 「神経様3次元組織体の生死判定技術の検討」

長田さん、八田くんの卒業論文がJ Anat に掲載

長田さん、八田くんの卒業論文がJournal of Anatomy に掲載されました。

ヒトの消化管は一時的に臍帯内に脱出しCRL40 mmころ、突然還納します(生理的ヘルニア)。生理的ヘルニアの脱出については論文がある程度ありますが、還納過程については研究がほとんどなく、不明な点が多くありました。今回の解析では、還納途中の3体を含む25体について形態計測的な検討をし以下の知見をえました。

  • 腹腔内での占拠割合は徐々に消化管が上昇、肝臓が減少し急激な変化はみられない
  • 消化管還納終了時、腹腔内で使用可能な消化管体積は200mm3で、臍帯内の最大容積25.8mmに比べ十分に大きい
  • ヘルニア期の腸管の最大の高さよりも、還納後の腹壁(臍帯輪)の高さは高い
  • 消化管還納時には、腹腔内へ張力が働く(loop model)という古典的な説に対して、
  • 腹壁がもちあがり消化管を包むことが起きている可能性を提唱(wrapping model)

35. Nagata A, Hatta S, Ji X, Ishikawa A, Sakamoto R, Yamada S, Imai H, Matsuda T, Takakuwa T. Return of the intestinal loop to the abdominal coelom after physiological umbilical herniation in the early fetal period. J Anat, 2019, 234, 456-464.doi: 10.1111/joa.12940.

Abstract

The intestine elongates during the early fetal period, herniates into the extraembryonic coelom, and subsequently returns to the abdominal coelom. The manner of herniation is well-known; however, the process by which the intestinal loop returns to the abdomen is not clear. Thus, the present study was designed to document and measure intestinal movements in the early fetal period in three dimensions to elucidate the intestinal loop return process. Magnetic resonance images from human fetuses whose intestinal loops herniated (herniated phase; n = 5) while returning to the abdominal coelom [transition phase; n = 3, crown–rump length (CRL)] 37, 41, and 43 mm] and those whose intestinal loops returned to the abdominal coelom normally (return phase; n = 12) were selected from the Kyoto Collection. Intestinal return began from proximal to distal in samples with CRL of 37 mm. Only the ileum ends were observed in the extraembryonic coelom in samples with CRLs of 41 and 43 mm, whereas the ceca were already located in the abdominal coeloms. The entire intestinal tract had returned to the abdominal coelom in samples with CRL > 43 mm. The intestinal length increased almost linearly with fetal growth irrespective of the phase (R2 = 0.90). The ratio of the intestinal length in the extraembryonic coelom to the entire intestinal length was maximal in samples with CRLs of 32 mm (77%). This ratio rapidly decreased in three of the samples that were in the transition phase. The abdominal volumes increased exponentially (to the third power) during development. The intestinal volumes accounted for 33–41% of the abdominal volumes among samples in the herniated phase. The proportion of the intestine in the abdominal cavity increased, whereas that in the liver decreased, both without any break or plateau. The amount of space available for the intestine by the end of the transition phase was approximately 200 mm3. The amount of space available for the intestine in the abdominal coelom appeared to be sufficient at the beginning of the return phase in samples with CRLs of approximately 43 mm compared with the maximum intestinal volume available for the extraembryonic coelom in the herniated phase, which was 25.8 mm3 in samples with CRLs of 32 mm. A rapid increase in the space available for the intestine in the abdominal coelom that exceeded the intestinal volume in the extraembryonic coelom generated an inward force, leading to a ‘sucked back’ mechanism acting as the driving force. The height of the hernia tip increased to 8.9 mm at a maximum fetal CRL of 37 mm. The height of the umbilical ring increased in a stepwise manner between the transition and return phases and its height in the return phase was comparable to or higher than that of the hernia tip during the herniation phase. We surmised that the space was generated in the aforementioned manner to accommodate the herniated portion of the intestine, much like the intestine wrapping into the abdominal coelom as the height of the umbilical ring increased.

多元計算解剖学第5回国際シンポジウムで発表しました

多元計算解剖学第5回国際シンポジウム(The 5th International Symposium on Multidisciplinary Computational Anatomy)で発表しました。(3/4-5, 九州大学)

  • A02-KB107 Analysis of Central Nervous System and Skeletal System During Human Early-fetal Period Based on Multidisciplinary Computational Anatomy -Progress Overview FY 2017-FY2018- (PI:Tetsuya Takakuwa) 日本語

2018年度;修士論文概要

*修士論文発表会は2/8(金) 14:00から杉浦ホールで行われました。

Morphogenesis of the femur at different stages of normal human development
ヒト胎児期初期における大腿骨の形態形成の解析 鈴木裕子

【背景】大腿骨の発生はCarnegie Stage(CS)13頃に始まる。CS17では大腿骨の軟骨化、CS22~23の間には軟骨内骨化が始まる。発生段階における研究は形態形成の肉眼観察、組織学的検討や簡単な計測が主であり、3次元的な形態形成の検討は十分には行われていない。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター所有のヒト胚子、胎児期初期標本の立体情報計62例(位相CT;8例、MRI;54例)を対象とした。対象の内訳は、胚子標本がCS18~23、胎児期初期標本が頭殿長(CRL)=37.2~185mmであった。画像情報をもとに大腿骨の立体像を作成し、1)3次元的な形態学的検討、2)位相CT・MR画像を用いた大腿骨内部の分化成長過程(軟骨内骨化過程と軟骨管の形成)の検討、3)形態計測学的検討を行った。形態計測学的検討では、プロクラステス解析、主成分分析も行った。

【結果】1) 形態学的検討:CS18でこん棒状だった大腿骨は、CS20で遠位骨端が顆間窩によって外顆と内顆に隔てられ、近位骨端は大腿骨頭と大転子の形がはっきりし始めた。CS23になると小転子が形成された。胎児期初期では、CRL40mm頃までに大腿骨頭窩が形成され、転子窩もはっきりとした。顆状突起はCRL48mm頃から丸い形状から角を持った形状へと変化していった。

2)大腿骨内部の分化成長過程の検討:大腿骨の骨幹における骨梁の形成はCRL40mmで初めて観察された。骨化が始まると骨幹の中心部は高信号を示し、骨化が進むにつれ低信号を示すようになった。肥大化した軟骨細胞は高信号、骨梁の形成が始まると低信号を示した。骨化は大腿骨の骨幹中心部から両骨端に向かって広がっていった。軟骨管はCRL62mmで近位骨端に、CRL75mmでは遠位骨端で初めて観察された。

3)形態計測学的検討; i) 定量的検討:大腿骨の長さと骨化部分の長さはともにCRLと強い正の相関を示した(R2 = 0.96, 0.95)。捻転角は胎児期初期の間変化し続けたが、頚体角と傾斜度は骨化の開始前後に角度の変化が見られたものの、その後は値が安定していた。捻転角は骨化前から骨化部分の長さが5-10mmになるまで減少し、その後値が増加して24.9°となった。頚体角は骨化開始後に減少し、130°付近に収束した。傾斜度は骨化開始後に増加し、5°付近に収束した。ii) プロクラステス解析、主成分分析では、近位骨端は骨頭のセミランドマークの位置の変化が最も大きかった。近位骨端の第一主成分は骨頭のセミランドマークの変化の影響を受けていた。

【結論】胚子期、胎児期初期の大腿骨立体像を作成し、分化・成長に伴う3次元的な形態学的変化や内部の骨化に伴う画像の変化を定量的に明らかにした。本研究で得られた知見は大腿骨の正常発生の理解を深めるとともに、骨形成不全等の異常個体の解析、診断に応用できる可能性がある。

36. Suzuki Y, Matsubayashi J, Ji X, Yamada S, Yoneyama A, Imai H, Matsuda T, Aoyama T, Takakuwa T Morphogenesis of the femur at different stages of normal human development, PLoS One, 14(8): e0221569. https://doi.org/10.1371/journal. pone.0221569

Myocardial fiber histogenesis during human early fetal period using diffusion tensor magnetic resonance imaging(DT-MRI)
高解像度MRIDTI)を用いたヒト胎児期初期の心筋線維の形成 

西谷早織

【背景】ヒトの心臓発生は、受精後3週頃に前胸部に1本の管状の原始心筒が形成され、心拍が開始する。また、ルーピングと言われる過程を経て2心房2心室が形成され、成人心臓の構造へと発生する。心臓発生を理解するためには、形態解剖に加え、発生の各ステージでの心筋の発生・発達や、心筋の走行を理解することが重要であると考える。近年、MRI等の撮像技術は飛躍的に進歩し、標本を非破壊に保ったまま高解像度の情報を取得することが可能になっている。また、拡散テンソル解析を行うことにより、拡散異方性の程度を定量的に測定し、線維方向を確認することが可能である。現在これらの技術を用い、ヒト成人の左室壁の心筋線維の構造について研究がなされている一方、胎児期初期についての研究は多くはなされていない。ヒトの心臓拍動は胎児期初期から開始しているため、この時期から左心筋は方向性を持つと考えられ、拡散異方性の原理を適応し心筋走行の解析が可能であると考えた。そこで今回は、ヒト胎児標本のT1強調画像と拡散強調画像(DWI)を撮像し、得られた画像を基に胎児期初期における形態学的観察と左室の心筋線維の構造を明らかにすることとした。

【対象と方法】京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターが保有するヒト胎児標本計15例を対象とした。うち6例は胎児から摘出した心臓、9例は胎児中にある心臓を解析に用いた。高解像度MRI撮像を行って取得したMR画像をもとに心臓部分の立体化をして再構築を行い、形態学的特徴を観察した。また、DWデータをもとにHelix angle (HA) と呼ばれる心筋線維の方向性を評価する指標として用いられる値を計測し、心筋線維が心臓横断面となす角度が内膜側から外膜側にかけて如何に変化するかを観察した。

【結果】取得したMR画像では、左右の内腔を確認することができ、左室壁と中隔の厚みはほぼ均一であることがわかった。また、MR画像をもとに心臓部分の立体化を行うことで解剖学的特徴を再現することができた。さらに、Helix angle (HA) を計測すると、左室の内膜側から外膜側にかけてプラスの値からマイナスの値へ滑らかに変化する様子が観察でき、その傾向はCRL 23 mmの小さな標本においても観察された。このHelix angle (HA) の最大値と最小値を計測してその差を算出することで、内膜側と外膜側の心筋線維がなす角度を計測した。この角度はCRLの増加に伴って増加することが前壁と中隔において示され、胎児期において心筋線維の構造が徐々に成人心臓の構造へと変化していく様子が示唆された。

【結論】本研究では、高解像度MRIを用いることで、ヒト胎児期初期の胎児中にある心臓のMR画像を取得することをも可能にし、その画像を用いて三次元立体像を再構築することで形態学的特徴の変化を評価することができた。また、心筋線維が心臓横断面となす角度が内膜側から外膜側にかけて滑らかに変化することが、先行研究で示されているよりも若い時期の胎児において示されたことは本研究における最も新規的な部分であると言える。この滑らかな変化が出来始めるのはより若いステージであると考えられるため、今後、より発生時期の若い心臓についてのMR画像を取得することに成功すれば、ヒト心臓の発生についてより詳細に解明できると期待される。

46. Nishitani S, Torii N, Imai H, Haraguchi R, Yamada S, Takakuwa T, Development of helical myofiber tracts in the human fetal heart: Analysis of myocardial fiber formation in the left ventricle from the late human embryonic period using diffusion tensor magnetic resonance imaging. Journal of the American Heart Association, 2020, 19(9), e016422, doi:10.1161/JAHA.120.016422

第72回日本人類学会で発表

共同研究者の山口豊さんが第72回日本人類学会(2018/10/19-22、三島)で発表しました。若手会員大会発表賞をいただいたそうです。おめでとうございます

幾何学的形態測定学法を用いたヒト胎児脳の成長過程の解析

山口豊、勝部元紀、上部千賀子、巻島美幸、山本憲、今井宏彦、高桑徹也、富樫かおり、山田重人

石山さんの修論がPLoS Oneに掲載

石山さんの修論がPLOS ONEに受諾、掲載されました。ヒト腎臓(後腎)における尿集合管系の形成過程を明らかにし実験動物(マウス)との差異を論じました。

  • 最初の 尿路樹の分岐は CS16 で発生、CS23の最大分岐次数は12に達する、
  • 二分分岐が急速に発生し、その後ネフロンの形成が続き、CS23において末端枝数あたりの糸球体数は1.34
  • 腎盂拡張はCS23内でみられる
  • 分岐次数は極部で高い

34. Ishiyama H, Ishikawa A, Kitazawa H, Fujii S, Matsubayashi J, Yamada S, Takakuwa T, Branching morphogenesis of the urinary collecting system in the human embryonic metanephros, PLoS ONE 13(9): e0203623. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0203623

Abstract

An elaborate system of ducts collects urine from all nephrons, and this structure is known as the urinary collecting system (UCS). This study focused on how the UCS is formed during human embryogenesis. Fifty human embryos between the Carnegie stage (CS) 14 and CS23 were selected from the Kyoto Collection at the Congenital Anomaly Research Center of Kyoto University, Japan. Metanephroses, including the UCS, were segmented on serial digital virtual histological sections. Three-dimensional images were computationally reconstructed for morphological and quantitative analyses. A CS timeline was plotted. It consisted of the 3-D structural morphogenesis of UCS and quantification of the total amount of end-branching, average and maximum numbers of generations, deviation in the metanephros, differentiation of the urothelial epithelium in the renal pelvis, and timing of the rapid expansion of the renal pelvis. The first UCS branching generation occurred by CS16. The average branching generation reached a maximum of 8.74 ± 1.60 and was already the twelfth in CS23. The total end-branching number squared between the start and the end of the embryonic period. UCS would reach the fifteenth branching generation soon after CS23. The number of nephrons per UCS end-branch was low (0.21 ± 0.14 at CS19, 1.34 ± 0.49 at CS23), indicating that the bifid branching occurred rapidly and that the formation of nephrons followed after. The renal pelvis expanded mainly in CS23, which was earlier than that reported in a previous study. The number of nephrons connected to the UCS in the expanded group (246.0 ± 13.2) was significantly larger than that of the pre-expanded group (130.8 ± 80.1) (P < 0.05). The urothelial epithelium differentiated from the zeroth to the third generations at CS23. Differentiation may have continued up until the tenth generation to allow for renal pelvis expansion. The branching speed was not uniform. There were significantly more branching generations in the polar- than in the interpolar regions (P < 0.05). Branching speed reflects the growth orientation required to form the metanephros. Further study will be necessary to understand the renal pelvis expansion mechanism in CS23. Our CS-based timeline enabled us to map UCS formation and predict functional renal capacity after differentiation and growth.