■ はじまり
カーネギーコレクションは Franklin P Mall(1862-1917)が、Wilhelm His (1831-1904)とともにドイツのライプチヒでヒト胚子の収集を開始したことが始まりです。1887年からMallが集めた813体を基盤として、それにいくつかの胚子コレクション(Hertig AT, Rock Jなど)を追加したものがカーネギーコレクションです。カーネギー研究所には、1900年初頭から40年代半ばまでの間に約9,000体の標本が集められました。
現在はNational Museum of Health and Medicine of the Armed Forces Institute of Pathology内のHuman Developmental Anatomy Centerに保管されています。
• カーネギーステージ
収集したヒト胚子を分類するためには、胚子の成長の基準を作成すること必要でした。1914年、Mall は形態学的特徴を指標にした最初のStagingを提唱しました。これは、カーネギーコレクションに所属した2-25mmの266体のヒト胚子をHからUまでの14のstageに分けたものです。その際、日齢、大きさは胚子の成長の基準にすることは困難でした。ヒトにおいては発生開始日を正確に決めることが困難であることや、固定による収縮などが影響することが理由であると考えられます。彼らは、さらに胚子の連続切片の作成、stageごとに3次元モデルの作成も行っており、その数は100を超えました。研究者、科学者だけでなく、芸術家、写真家、工芸家までも含めたチームを結成してヒト発生学を開拓していったのです。後継者であるStreeter(1873-1948)は1920年頃からアカゲザルを用いて胚子の解析を行いヒトに当てはめるという手法でヒト胚子の発生の理解を深めました。そして30mmまでのカーネギーコレクションの胚子を1-23の発生段階にわけたStaging(当時はHorizonと命名)を発表(1942)しました。1987年にこのStagingにO’Rahillyらが改良を加えました.これがカーネギーステージの完成版で、現在、ヒト胚子の記載、分類の上での国際的な標準となっています。
O’Rahillyらのステージングの教科書のpdfはこちらから