研究室のロゴ”胚子くん”です。
左下の絵( 19 世紀末の風刺画)をもとにしています。
この絵の左に描かれる女性はダンテが恋をしたという美少女ベアトリーチェ、胚子が読んでいるのはダンテの書いた有名な詩集、La Vita Nuova『新生』です。詩集には有名な次の一節が書かれています。
“Incipit vita nova” “私の人生は、今ここから始まる”
La Vita Nuova『新生』は、13-14世紀イタリア詩人ダンテ=アルギエーリが、若い時代に書いた詩31篇とその詩を書くにいたった由来や解題をまとめた詩文集で、『神曲』に次ぐダンテの代表作です。
ダンテは幼い時に美少女ベアトリーチェと出会い、青年になって彼女と再会して会釈を受け、激しい恋心を抱くが、ベアトリーチェはほどなくして病気により夭逝しました。その悲報を受けてダンテは惑乱し、かねてベアトリーチェについて綴ってきた詩文と、彼女を喪ったことの悲しみをうたった詩をともに『新生』としてまとめ上げたといわれています。
19 世紀末は、 His 博士がヒトの胚子、胎児を観察し学術書に記載した時期に相当します。リアルなヒトの発生の描写は、当時の世界においては、かなりの衝撃であったと推察されます。
図の説明
左;世紀末美術 ‘decadent Art’を代表するAubrey Beardsley(1872–98) が描いた風刺画
中;モデルとなった絵画、 Beata Beatrix (by Dante Gabriel Rossetti)
右;参考にしたと推測されている胎児、 Wilhelm Hisの ‘Anatomy of human embryos'(1880-85)’