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小脳テント(硬膜)の形成

硬膜は、硬膜、くも膜、軟膜という三種類の膜構造に分類される髄膜の一種である[1]。硬膜はこの三層のうちで最も厚く最外層にあり、脳の中では隔壁として脳を区分したり、頭蓋骨の真下で骨膜としての役割を果たしたりしている。硬膜が形成する隔壁には四種類があり、大脳半球と小脳半球をそれぞれ区分する鎌状の大脳鎌と小脳鎌、下垂体を収納するトルコ鞍の天井部分に張る膜である鞍隔膜、そして大脳と小脳を隔てるテント状の構造物である小脳テントに分けられる[3]。硬膜の発生過程は様々な説が唱えられてきたが、O’Rahillyの提唱した説では、その起源は血管の周囲に形成されるMeninx primitivaと呼ばれる初期の髄膜にあるといわれている[4]。まず胎生四週ごろに脳(Brain)と血管(Blood vessel)の間に軟膜(Pia mater)が形成され、それに続いてMeninx primitivaの外側に骨形成層(Skeletogenous layer)という将来骨になる層が形成される。静脈洞(Venous sinus)はこの骨形成層の中に作られる。硬膜の前身となる層は硬膜境界層(Dural limiting layer)と呼ばれるが、これは骨形成層と軟膜の形成後にその間に出現する。そして最終的に軟膜と硬膜境界層の間がくも膜下腔(subarachnoid space)となり、骨形成層と硬膜境界層の間が硬膜(Dura mater)に変化していく(図1)[2]