成人の喉頭と喉頭軟骨
喉頭の上端は咽頭と接続する喉頭口であり、下端は気管上端と接続する。喉頭を構成する大型の軟骨(喉頭軟骨)は下から輪状軟骨、甲状軟骨、舌骨である。
輪状軟骨は気道の周囲を一周している環状の軟骨である。上下に幅広い輪状軟骨板が後方にあり、幅の狭い輪状軟骨弓が前方から気道を取り囲む。
甲状軟骨は喉頭軟骨の中で最大の軟骨である。左右の甲状軟骨板は、後方では互いに離れているが、前方でつながっている。甲状軟骨板の後縁は上下にのびて、上角と下角をつくる。
舌骨は、喉頭の上方を固定するU字型の軟骨である¹。舌骨体と、そこから左右の後上方にのびる大角と小角により構成される。
喉頭軟骨の形成
〇舌骨
CS18で両端から形成され、CS19で正中で癒合した。
また、CS19でPhase3が正中部に現れ、CS20でほぼ全域がPhase4となった。
〇甲状軟骨
CS18では上角の部分が形成され、CS19以降では側方の甲状軟骨板が正中部に向けて伸長した。胎児期初期で甲状軟骨板が正中部で完全に癒合。
また、CS20でPhase3が正中部付近からほぼ全域に広がり、CS23でほぼ全域がPhase4となった。
〇輪状軟骨
CS20で輪状軟骨弓を中心としたU字型の軟骨が形成された。CS21で背側が癒合し、輪状軟骨板が尾側に向かい伸長した。
CS22で成人と類似した形態となった。また、CS20でPhase3が側方内側から、前方正中部や側方外部へ広がり、CS23でほぼ全域がPhase4となった。
気管軟骨
成人の気管は直径約2~2.5cm、長さ約10㎝の管で、16~20個のU字型の気管軟骨が気管の前壁から側壁にかけて全周の4/5~2/3を覆っている。気管後壁には軟骨輪の両端を連結するように平滑筋が横走する。管壁に軟骨が存在するのは区域気管支までである[1]。気管軟骨は気道確保のために重要な役割を果たす。
CS20で気管、左右主気管支と左右上葉気管支周囲を覆い、それ以降の個体では覆う範囲に顕著な個体差は認められなかった。
しかし、CS20の1個体では気管正中部付近において気管軟骨と周囲組織との境界が明瞭ではない部分が確認された。
CS22ではPhase3が、CS23ではPhase4がほぼ全域で確認された。
54. Yamazaki Y, Kanahashi T, Yamada S, Männer J, Takakuwa T. Three-dimensional analysis of human laryngeal and tracheobronchial cartilages during the late embryonic and early fetal period. Cells Tissues Organs, 2022, 211,1-15, https://doi.org/10.1159/000519160