成人の肋骨は12対あり、それぞれ前方で肋軟骨に移行する。すべての肋骨が脊柱と関節をなすが、上位7対の肋骨(真肋true rib)の肋軟骨のみが直接胸骨と関節する。残りの5対の肋骨は、肋骨と関節しない仮肋false ribである。第八~第十肋軟骨は、前方でその上位の肋軟骨と関節する。第十一・第十二肋骨は、ほかの肋骨あるいは胸骨と前方では結合せず、浮遊肋floating ribと呼ばれる。(文献1)
胚子期の胸部脊椎の肋骨突起は第5週から伸長し、肋骨を形成する。第6週後期では肋椎関節が形成され、肋骨と脊椎が分離する。
胎生第7週頃(CS17-18)までは腹側方向へ直線状に伸長する18。
胎生第7週(CS19)以降、上位肋骨では、先端が胸郭前面の正中に向かって弧状に成長し、CS21頃より左右の肋骨先端は近接する(図5)。この近接部に胸骨が形成される。胸骨は正中線の両側に1本ずつ、合計2本の胸骨帯が形成され、のちに癒合することで胸骨柄、胸骨分節、剣状突起の軟骨原基が形成される。胸骨帯は正中で頭部から尾側に向かって癒合していく。
胸骨帯の外側には、成長する肋骨の遠位端が結合する。下位肋骨先端は腹側外側に開いており、上位肋骨との差が明瞭となる。
骨化中心は60日目頃には出現するが、剣状突起は出生まで骨化しない。(文献2)