脈絡叢
脈絡叢の発生について 赤色で立体化されている部分が側脳室脈絡叢、黄色が脳室です。 脈絡叢は胚子期に脳室上衣細胞から発生し、脳脊髄液を産生する器官です。 脈絡叢は脳脊髄液によって、神経細胞を栄養し神経細胞の発達に影響を及ぼす重要な器官です。
側脳室脈絡叢を赤で側脳室とともに立体化したものです。 MRdataで初めて脈絡叢が観察された、カーネギーステージ19から23までを示しています。 それぞれ左側方、前方、背側から観察した図です。 側脳室内での脈絡叢の位置や、ステージ間における成長の方向、側脳室内容積に占める割合の変化がわかります。 今回、リファレンスポイントとして側脳室壁と脈絡叢の初期の付着部位を定義しました。
脈絡叢にはステージごとに特徴的な成長の方向があることがわかりました。 左は背側、右は左側方からみたステージごとの脈絡叢の図です。 ステージ19〜20では側方・尾側への成長が目立ちます。 ステー21〜23では背側への成長が著しいが、ステージ22〜23では前方へも大きく成長していました。 脈絡叢の表面の形状もステージによって特徴がありました。 脈絡叢の表面をこの図の方向から観察したものです。 カーネギーステージ20ではなだらかな表面ですが、 21、22では多数の凹凸が観察されます。 しかしステージ23ではそれらの小さな凹凸は観察されず、2、3個の大きな隆起が観察されました。
組織観察により、リファレンスポイントから近位と遠位で組織分化度が異なること、 ステージ21から22あたりに移行期間が見られ、 血管造成が先に進み、上皮の分化が遅れて起こることなどがわかりました
まず、脈絡叢前方、正中側のリファレンスポイントの近位はなめらかな表面を有しています。
これは組織学的に低分化な部位で分葉がまだなされておらず、
上皮はまだ偽重層。間質には多くのangioblastsが集まり、上皮下の小血管や大血管を形態形成中であると考えられます。
脈絡叢尾背側のリファレンスポイントの遠位では凹凸が多く観察されます。
これは組織学的に中〜高分化な部位であり、上皮は単層円柱上皮になり、多くの分葉が観察されます。
これは分化した脈絡叢上皮は細胞質内にグリコーゲンを有しており、脊髄液とともに脳室内に放出するために表面積を増やす目的があると考えられます。
これらの結果を考えると、前方で間質、血管、上皮の増殖が起こり、辺縁部に向かって分化した組織が押しだされていくという流れが考えられました。